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“働く”ということに寄り添ったマネージメントとは?(対談)

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ストーリー

“働く”ということに寄り添ったマネージメントとは?(対談)

株式会社ナラティブベース様

2023.02.08

パーパスとして『働く人の未来をしあわせにする』を掲げる株式会社ロケットスタートホールディングスと、『それぞれが しあわせな ‘はたらく’ をつくりだす』をテーマに事業を展開する株式会社ナラティブベースの代表によるスペシャル対談。ロケットスタートは『人とDX』、ナラティブベースは『対話』を得意としながらクライアントの労働環境に変化をもたらしてきた両者に、これからの時代に求められる働き方や、そのためにマネジメント層がするべきことを存分に語ってもらった。

“働く”ということに寄り添いつづける両社が考える、しあわせな働き方を実現するためにマネジメント層がするべきこととは──

株式会社ナラティブベース
代表取締役 江頭 春可

1995年早稲田大学卒業後、在学中に旗揚げした劇団で活動を続ける。1996年株式会社リクルート入社。ネット広告営業、メディアサイトの企画設計、広告商品開発などを担当。2001年にフリーランスとして独立し、出産・育児をしながらフリーランスチームで業務委託事業を開始、2011年に株式会社ナラティブベースを設立。様々なスキルを持つ40名以上のフリーランスや複業者と共に、企業の業務改善やアウトソース化など柔軟で身軽な業務体制づくりを支援しながら、10年間培ったオンラインチームビルディングのノウハウを提供している。

株式会社ロケットスタートホールディングス
代表取締役 星 栄一

栃木県宇都宮市出身。2004年、株式会社リクルート入社。1000人を超える地方の経営者にお会いし、採用課題と経営課題に取り組む。地方創生の課題感を身近に捉え採用とITで地域への貢献を決意。2014年、リクルートトップパートナーとして独立。創業からkintoneを活用してリクルート式のSFAを独自に構築。他代理店への展開を機にその他業種へも多数展開。現在サイボウズ認定パートナーとして伴走DX新サービスiTantoを展開。

対談をするロケットスタート代表の星(左)とナラティブベース代表の江頭さん(右)

リクルートで経験したメディアサイトの企画設計などが今の礎となっています

 江頭さんとは弊社のホームページのリニューアルを依頼したのがきっかけでお付き合いが始まったわけですが、実は私たちは同じリクルート出身なんですよね。

江頭 そうですね。今は別会社に事業譲渡されましたが、私はキーマンズネットというウェブサイトを運営するディビジョンで働いていました。

 私が勤務していたのは、HRマーケティングというリクルートのグループ会社。そこで求人広告の営業をしていました。

江頭 私も最初は営業をしていたのですが、社内で『これからのネットのメディアづくり』をテーマにした小論文のコンテストのようなものがありまして。それが評価されて、企画に異動になりました。ここで経験したメディアサイトの企画設計などが今の礎となっています。

 私が独立したのも、リクルートでの経験がきっかけですね。つくばと宇都宮でマネージャーとして働いたのちに新潟に異動になりまして。そこは事業部内の売上ランキングで全国最下位だったのですが、みんなで頑張って次の年には年間グランドスラムや東日本トップを獲得するまでになったんです。しかし、その後つくばに戻ることになり信頼関係を築いたメンバーや交流を深めたお客様との別れを経験したことで、「決まったエリアを元気づける仕事がしたいな」と思うようになっていったんです。

江頭 そうだったんですね。私は結果的に独立しましたが、何かやりたいことあって会社を辞めたわけではなくて。ネットメディア企画という仕事自体は楽しかったし勉強になったのですが、個人的に先のキャリアが見えないことに焦燥感を感じてしまい退職を決意しました。リクルート時代の私って、若かったこともあり生意気だったんです(笑)。

 江頭さんらしい気がします(笑)。ちなみに私は経験を活かしつつ、会社への筋を通したかったのでリクルートの代理店として2014年にロケットスタートを立ち上げましたが、江頭さんは独立当初はどのような働き方をしていたんですか?

江頭 ありがたいことに起業した先輩や別の会社に転職した先輩が事業を立ち上げる際、企画の部分を手伝ってほしいと言っていただける機会がつづきまして。会社は設立せずに、フリーランスとしてそれらの仕事を請けていました。

仕事をする上で一番大切なのは雇用形態ではなく“自分を生かすための関係性づくり”

 今、ナラティブベースさんで働いている方は、全員が社員ではなく業務委託として契約を結んでいますよね。それは、江頭さんの経験がベースになっているんですか?

江頭 フリーランスになった頃の私は、子どもを産んだこともあり子育ての状況に合わせて、業務量をハンドリングしながら仕事を継続していました。 “自分のしあわせ”を大事にするために選択したのですが、その良さを伝えていたら共感してくれたワーキングマザーたちが仲間になってくれて。そして、メンバーが増えてきたため2011年に法人化しました。つまり、わりと流動的に今のカタチになったんです(笑)。

 流動的(笑)ではあっても全員が業務委託スタッフで、プロジェクトに対して責任をもって取り組むというナラティブベースさんのスタイルは、ジョブ型に移行する企業が増えている中で最先端なんじゃないかなと思うんですよね。しかし、すべての人が独立できる才能を持っているわけではありません。求人広告を扱っている立場でいうと、その働き方がメインとなると職に就けない人が増えてしまうのではという不安も感じます。

江頭 私も「みんなフリーランスになればいい」と思っているわけではないんですよね。ただ、長らく業務委託のチームづくりをしてきて気付いたのが、仕事に関わる誰もが“目的に対して何ができるのか”を常に問われている状態なので、働くこと自体が本当の意味でモチベーションになりやすいんです。“企業の方針や、上司に合わせる”といった強制力よりも、“目的に対して関係性をどうつくるか”が優先されるというか…。それでいうと仕事をする上で一番大切なのは正社員や契約社員といった雇用形態ではなく、 “自分を生かすための関係性づくり”だと思っているかもしれません。メンバーが増えていく中で、よりチーム力を高めるために、ナラティブベースが大切にしてきたことを語り合いながら共通言語化。再現性を高めました。 

 ロケットスタートもホームページのリニューアルと同時に、『働く人の未来をしあわせにする』というパーパスを掲げましたが、これはナラティブベースさんにも協力してもらいながら、メンバーに語ってもらった“仕事に対する想い”を汲み取った上で導き出された言葉。企業としての方針ではありますが自分の気持ちも入っているため、社員たちも自分の言葉・想いとして受け取ってくれています。共通言語化は企業と社員の関係性の構築にも一役買いますよね。

ロケットスタート代表の星(左)とナラティブベース代表の江頭さん(右)

小さなことでもスタッフのやりたいことを尊重してあげたい

 未来の“しあわせな働き方”を考えたとき、確実に今とは変わるのだけど一体どこに行きつくんだろうという感じはありますね。もしかしたら、あまり働かなくてもいい世の中になるかもしれない。働かないから食事はカップラーメンで済ますけどメタバースの世界で海外旅行に行ったり、たくさんの人とコミュニケーショとれたりすることで満足感を得る時代が来るかもしれません。まるで映画の『マトリックス』のような。

江頭 本当にわからない…むずかしいテーマですね。

 人が働く目的の1つに“お金”もありますよね。無理のない働き方を重要視する人はこれからも増えるでしょうが、たくさん働いて収入を多く得たい方も一定数いると思うんです。海外では月300時間働く人も多いし、日本にもやりたいって人もいるし、できる人もいる。でも今の日本の制度では、一律でできなくなっているのがまずい気がします。

江頭 無理やりたくさん働かされるのは大問題ですが、できる人ややりたい人が実現できるようにはしたいですよね。

 それこそ、ナラティブベースさんのように業務委託という働き方を選択したりしながら。いずれは会社って枠組みが崩壊していく気もしますが、その前に会社自体が雇用形態や個人の働き方を変えていくんでしょうね。

江頭 会社の代表としては、小さなことでもスタッフのやりたいことを尊重してあげたいですね。感じていることややりたいことって、一歩踏み出す原動力になりますから。

 すごくわかります。相手のやりたいと思っていることを知りたい、引き出したいって感覚ってとても大事だと思います。

みんなが声をあげやすくする場づくりや、プロセス自体を見える化してマネジメントするスキルが大事になってくる

江頭 子どもって親の思うようには成長しませんよね。それと同じで、仕事も、相手を急がずに待つ、観察する、理解するという“プロセス”の部分にも重きを置きたいです。結果的に「期待していたのに」「こんなにしたのに」と感じるかもしれませんが、待つ側も自分がその道を選んだという事実にも責任を持つべきかなって。

 成長に関して話すと、私には「単純なことほど考えながら。考えなければいけないことこそシンプルに」という持論があるんです。たとえばテレアポのような単純な業務をつづけると人は疲弊してしまうもの。そういうときこそ、どうしたら楽しくなるかを思い描く。そして、考えすぎてもグチャグチャになってしまうのでシンプルに進める。そのことに気づけた瞬間、人は伸びる印象がありますね。

江頭 マネジメントというものが大きく変わってきている時代に求められているのは、やっぱり「コントロールする」「評価する」「判断する」といった、上から目線のものとは異なる気がします。みんなが声をあげやすくする場づくりや、プロセス自体を見える化してマネジメントするスキルが大事になってきそうですね。

 発言しやすい環境はもちろんですが、作業だけであればAIがやってくれる時代が来ているからこそ、働く人は自分の行動にどんな意味があるのかをきちんと言葉にするスキルを今まで以上に求められるようになるんじゃないでしょうか。

江頭 たしかに。ちなみにナラティブベースでは「開示」「(目的)回帰」といった共通言語があって、チームコンダクターというポジションの人間が、「自分から状況を開示する」「目的に回帰して話す」といったマインドセットをチームに浸透させていく役割も担っているんですよ。

 主体性を引き出すのって本当に難しいですよね。

江頭 社内で対話会も不定期開催しているのですが、何か会社で決めていきたいことについて、上が決めたことを下ろすのではなく1時間半×何回か、そのテーマについてしっかりディスカッション。「そんなに時間かけるの⁉」って思われるかもしれませんが、これをやるのとやらないのでは全然違うんです。

 それが秘訣なんでしょうね。対話と時間は嘘をつかないというか。効率化などを考え始めると、DXなどが必要になってくるのかもしれませんが。

江頭 ITに助けられている部分はとても多いです。一つひとつの対話に時間をかけることも、業務に追われていてはできませんからね。

 ちなみに私たちの場合、DX化を推し進めたことで業務内容が可視化されて、メンバーの行動や何を考えているかが以前よりもわかりやすくなりました。直接話していなくても想いや熱量が伝わっているので、より建設的な話ができるようになったんですよ。

江頭 そうなんですね。

 “しあわせな働き方”の実現にはDX化は欠かせないというのが軸にあります。そのためのお手伝いをするのが、私たちの役割。デジタルを導入した結果、お客様から「業務効率が格段にアップした」「残業が減った」「Excelや紙での作業には戻れなくなった」という声をいただけたときは、すごくうれしいですね。それと同時に、ジョブ型も進めたほうがいいと思います。能力によっては業務委託を選択できるかもしれないし、より合った領域の仕事ができるようになる可能性が増えますしね。そして、ジョブ型にするためにもデジタルは必要。

組織は生き物。それでも人を変えたり、チームを分解したりしながらフレッシュな状態を維持する努力はできるはず

江頭 古い習慣の中にも結構重要なことや、その会社が大切にしたいことが埋まっているケースもあるので全部変えてしまうのがベストという考え方には個人的には抵抗があります。私たちのナラティブベースの手法は、それらを語ることで“俯瞰して眺めて再発見”みたいな感じ。今は大きな邪魔な岩となっているけれど、その岩も昔は光っていたはずなんですよね。そういった組織が持つカルチャーも大事にしていきたいです。

 お客様らしさを大切にするのは、私たちも一緒です。そのための対話には時間をしっかりとっていて、それぞれの会社が持つ文化も重視するようにしています。DX化といっても、根っこで鍵を握っているのは“人”なんですよね。

江頭 組織もプロジェクトも生き物だから、成長を経て衰えていってしまうのは仕方ありません。でも、人を変えたり、チームを分解したりしながらフレッシュな状態を維持する努力はできるはず。さらに、そういった動きを作り出す人間が直感的に動くための感性を磨きつづけるのも大事ですよね。

 お話をしていると、しあわせな働き方の追求に終わりはないけれど、時代に合わせてマネジメント層とメンバーが一緒に変化していくことで、より良いところに着地できる──そんな感じがします。

江頭 それに加えてチームは、圧倒的なリーダーとその他という構成ではなく、一人ひとりがプロフェッショナルを目指して、得意分野を持ち寄るような形になるんでしょうね。

 チームを盛り上げるリーダーは今後も必要ですし、重要な存在です。でも、圧倒的な権限を持った人材というより、リーダーというポジションも得意分野の1つになるんでしょうね。あと、会社への貢献度を推し量るような評価制度は崩壊する気がします。「気遣いができる子だな」「場づくりが得意な子なんだな」「考えを言語化できる子なんだよね」といった、個々のスキルに着目する時代が来ているんですよね。

江頭 本当にそうですね。そして、プロセスを一緒に構築していくことが人の成長につながり、ひいては会社の成長につながる気がします。

 まさにうちのメンバーもそのスタイルなんです。ロケットスタートはDX改革、ナラティブベースさんは働き方の改革をしていますが、どちらも“人”が今まで以上に重要なキーワードになりそうですね。またお酒でも飲みながら、情報交換しましょう。

ロケットスタート代表の星(左)とナラティブベース代表の江頭さん(右)

<編集後記>
ナラティブベースとロケットスタートの両社は“しあわせ”をテーマに掲げているものの、それを実現に導くための手法や考え方は明らかに違っていた。しかし、共通していたのは“お客様らしさ”を大切にするというスタンス。そして社内のマネジメントに関しても、メンバーの声やその人らしさを重視していた。これからも両社は“人”を主軸に柔軟に変化しながら、社内外の働く人たちのしあわせをカタチにしていくのだろう。
ライター:中野 文香

■株式会社ナラティブベース様
https://narrativebase.com/

ROCKET START 株式会社ロケットスタートホールディングス

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