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人手不足が深刻な理由と今後の対策:業界ごとに解説

公開日: 2024年04月02日 / 更新日: 2025年02月07日


ロケスタ通信採用支援

人手不足が深刻な理由と今後の対策:業界ごとに解説

昨今盛んに叫ばれるようになった人手不足ですが、どれほど深刻なのでしょうか?またどうしてこれほど人手不足と言われるようになったのでしょうか?

業界ごとに事情は多少異なりますが、根幹にある問題は同じです。つまり少子高齢化に伴う労働力需要のバランスの大きな崩れです。労働力の需要過多、そして供給不足ということです。

今後確実に加速するといわれている人手不足ですが今後の展望を含めてこの記事では、人手不足の理由や人手不足が特に激しいといわれている業界の事情、そして採用に及ぼす影響、さらには企業としてどんな対策が取れるのかといったことを詳しく扱っていきたいと思います。

人手不足が加速する背景

ここでいう「人手不足」とは業務を行うために必要な人材が確保できず、業務に支障が出るような状態のことを指します。以前より叫ばれていた問題ですが、ここ最近、特にコロナ禍のあたりから身近にも実際に人手不足を感じておられる方も多いのではないでしょうか?

特に採用市場では超売り手市場が続いており「いかに求職者に選ばれる企業になるか?」が鍵です。企業が求職者を選ぶ時代はとっくに終わりを告げました。
なかなか採用ができないと悩んでおられる人事担当者の方は特に切実に人手不足を感じらおられるに違いありません。

主な理由としては大きく次のものが挙げられます。

・少子高齢化による労働力供給不足
・地方から都市部への人口の流入
・働き方の多様化

では、これらの要因が具体的にどのように人手不足につながっているのか詳しくみていくことにしましょう。

日本の深刻な少子高齢化の影響

人口増加が続いていた中国で最近人口が減少したということが少し前にニュースになったことがありますが、世界的にみると日本は少子高齢化が特に激しい国です。

総務省の「令和3年版高齢社会白書」をみるとそのことが顕著に分かります。

出典:総務省「令和3年版高齢社会白書」

2020年の時点で高齢化率(65歳以上人口の割合)は28.8パーセントと推計されていてすでに深刻な少子高齢化状態にあると言われていますが、2040年には35.3パーセントにもなると推計されています。約1.2倍の増加です。

一方で高齢化した人口を支える15 歳から64歳までの人口は2020年で2.1パーセント。2040年には1.5パーセントこれをもとにこの高齢者人口をささえる人口に対する高齢者人口の比率でいうと、この間に約1.7倍に膨れ上がるということになります。

少子高齢化による労働力供給不足

少子高齢化によって高齢者人口は増えますが、高齢者の方が増えたからといって物の消費量がシンプルに減るわけではなく、生活するため必要とするサービスは基本的に変わりません。また高齢になるにつれ医療や看護の需要はどんどん増えていきます。

一方で労働力は少子高齢化に伴って確実に減少します。高齢化した層の労働力がどんどん減っていくのに対して、その減少分を埋め合わせるだけの若年層がいないからです。

これが労働力の需要と供給のバランスを大きく崩し、その結果、需要過多、供給不足の状況となって大きな人手不足を引き起こします。

リクルートワークス研究所の「未来予測2040」によると2030年には341万人あまり、2040年には1100万人あまりの労働供給不足が予測されており、これは現在の近畿地方の就業者数と同等の規模です。

労働供給量についていうと2027年頃から急激に減少し、2022年の約6587万人から2030年には約6337万人、2040年には5767万人に減少する見込みがあると言われています。

一方、労働需要はほぼ横ばいで推移する見込みで、高齢人口の増加に伴い、医療・福祉業や物流業、小売業などの需要が増加する可能性が高いです。

労働供給が追いつかない状況となり、生活や企業経営にも大きな影響を与える可能性があります。また、人手不足が深刻化する中、2040年までにはますます人材獲得が困難になると見込まれています。

■ ポイント

・2030年には341万人あまり、2040年には1100万人あまりの労働供給不足
・労働需要はほぼ横ばい

都市部への人口集中

少子高齢化によって日本全体で、2030年に341万人余、2040年に1100万人余の労働供給が不足すると言われていますが、無視できないのは地方から都市部への人口流入です。

リクルートワークス研究所の「未来予測2040」では日本の都道府県が4つのパターンに分類されており、それぞれ労働力供給不足の動向が少し異なっています。これをみると東京都が一人勝ちしていく様子がはっきりと浮かび上がってきます。

ただでさえ労働人口が減少していくなかで、さらにその限られた労働人口がことごとく大都市へと流れていきます。その結果労働人口が東京などの大都市にどんどん集中していってしまい結果として地方ではどんどん人手不足になっています。

都市部への人口集中で地方はますます人手不足に

働き方の多様化

企業が求める能力や資格、労働条件と求職者が求めているものでミスマッチがあることも人手不足の背景となっています。

例えばコロナ禍以降一気に普及したリモートワーク。ですが、ZOOMなどを使ったオンラインミーティングが当たり前となったためインターネット環境があればどこからでも仕事ができる時代となりました。さらに最近は子育てをしながら時短であっても本格的に業務をこなす女性の方も増えています。

総務省の「令和5年版 情報通信白書」によれば、2023年時点で民間企業の約50%がテレワークを導入しています。

出典:総務省「令和5年版 情報通信白書」

国土交通省の「令和5年度 テレワーク人口実態調査」によると、雇用型就業者のうち24.8%がテレワークを実施しています。

■ ポイント
・民間企業の約50%がリモートワークを導入
・雇用型就業者のうち約4人に1人がリモートワーク

そしてアルバイトなどでは特にスポットバイトと言われる働きかたも浸透し始めています。一時的に短期でバイトをする形です。このように働き方が多様化しており、求職者が選べるオプションは増えています。

■ スポットバイトとは?
スポットバイトとは、短期間や単発で行うアルバイトのことを指します。一般的に、数時間から数日間の勤務で、学業や本業を優先しながら柔軟に働くことができる働き方として注目されています。

転職に対する価値観の多様化

若い世代を中心に転職はとても肯定的に捉えられるようになりました。数年働いたらキャリアアップや収入アップのための転職するということが当たり前になってきています。

「就職白書2024 」によると、若者の早期離職の理由が、キャリアの早期構築願望に基づくものであると報告されています。「早くどこでも活躍できる人材になりたい」という意識が高まっているため、「この企業にいたら、将来のキャリアの見通しが持てない」と感じたら早めに見切りをつける傾向にあるということです。

マイナビキャリアリサーチLabの調査によると、転職率は20代でもっとも高水準となっており、他の世代でも転職は増加傾向にあります。

■ 各世代の転職傾向

20代:
転職率:20代の転職率は13.2%と、全世代の中で最も高い水準です。  
主な要因:キャリアの多様性と自己成長を重視

30代:
転職率:
30代の転職率は9.8%で、2020年から2023年にかけて緩やかに増加
主な要因:子育て世代として、生活環境の変化が転職の要因となることが多い

40代:
転職率:40代の転職率は5.6%で、2020年から2022年にかけて増加し、2023年は過去最高値
主な要因:仕事内容や待遇への不満が主な要因

50代:
転職率:50代の転職率は3.4%で、2020年から2021年にかけて増加し、2021年以降ほぼ同数値で推移
主な要因:転職理由昇進昇格がある程度見えており、待遇面よりも人間関係など職場の居心地に重きを置く傾向

このような転職に対する価値観の変化もあり、採用後の離職の可能性も高くなりました。人手不足の要因のひとつとなっています。

正社員が特に不足している

帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2024年10月)」によると、2024年10月時点で、全業種にわたる従業員の過不足について調査したところ、正社員が不足していると答えた企業は51.7%に上りました。この割合は前年同月と比較して2カ月連続で減少していますが、その減少幅は小さく、5割を超える水準が続いています。

一方で、非正社員に関しては、不足と答えた企業の割合が29.5%です。

このことから、正社員が圧倒的に不足している現状が見て取れます。

出典:帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査」

さらには「株式会社マイナビ 中途採用状況調査2024年版」でも、正社員の過不足感としては「余剰感を感じる」の合計が23.7%、「不足している」と感じている企業の合計は44.9%であると報告されており、正社員の不足がいまだに続いていることが分かります。

つまりアルバイトやパートなどの非正規雇用に比較して正社員の人手不足が深刻であるということです。

毎日の求人数を集計しているHROGフロッグでは正社員の募集数とアルバイト・パートの募集数が毎日更新されていますが、これをみてアルバイトの求人のほうが正社員の求人数よりも圧倒的に多いということが分かります。

出典:https://hrog.net/ (2025.1.16)

実は正社員の募集を探している人よりもアルバイト・パートの募集を探している人のほうが圧倒的に多いということです。

これは前述の多様な働き方を求めている人が多いという話とつながりますが、特に主婦の方が家計を補助するためにパートの仕事を探しているというケースなおで、多くのパートさんは扶養控除の範囲内で働ける仕事を探しています。

一方で、アルバイトの最低賃金は毎年値上げされる一方、扶養控除範囲内で稼げる金額は変わっていません。現在、年収103万円の壁をどうするのか、ということが政府でも検討されていますが、今後の動向は注視していきたいところ。

こうした背景も人手不足が加速する要因にもなっています。    

人手不足が特に深刻な業界とその理由

さて、ここまでで日本の深刻な少子高齢化の状況と、それによって引き起こされる需要過多によって社会全体が人手不足に陥っていく様子を見てきました。

ここから考えたいのは業界ごとの事情です。それぞれの業界によって、業界特殊の事情があり、業界によって人手不足に様態は異なるのが実情です。では人手不足が特に深刻な業種とその理由をみていくことにしましょう。

業種別の有効求人倍率

厚生労働省「一般職業紹介状況(令和6年1月分)について」で様々な業種の有効求人倍率を見てみると、職種通しての全体での有効求人倍率が 令和6年1月時点で1.21倍だったのに対して、それを下回る職種とそれを上回る職種があることが分かります。

全体の平均:1.21倍

特に人材不足

販売従事者:2.15倍
サービス職業従事者 :3.08倍
保安職業従事者:7.02倍
輸送・機械運転従事者:2.29倍
建設・採掘従事者:5.26倍

人材不足
管理的職業従事者:1.10倍
専門的・技術的職業従事者:1.99倍
農林漁業従事者:1.13倍
生産工程従事者:1.67倍

人材過剰
事務従事者:0.48倍
運搬・清掃・包装等従事者:0.77倍

特に建設・採掘従事者が5.26倍、サービス職業従事者 が3.08倍、輸送・機械運転従事者が2.29倍となっており、建設業界や運送業界で特に深刻な人手不足が見られます。

■ 有効求人倍率とは?

有効求人倍率は、求職者1人に対して求人が何件あるかを示す指標です。この数値が高いほど、求職者にとって就職が容易な「売り手市場」を意味し、低いと企業側が有利な「買い手市場」を示します。

例えば、有効求人倍率が1.0倍の場合、求職者1人に対して求人が1件ある状態です。この指標は、労働市場の需給バランスを把握するのに役立ちます。

正社員が不足している業種

帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2024年10月)」では正社員が不足している企業の割合について業種別に報告されています。

正社員の人手不足について業種別に見ると、「情報サービス」でのSE不足が最も深刻で、70.2%という高い水準にあります。前年同月と比べると2.7ポイント下がったものの、依然として唯一7割を超えている業種です。「多くの開発案件がある中で、人手不足が顕著である」との声がソフトウェア受託開発企業(東京都)から聞かれ、需要の安定した増加が人手不足を慢性化させている、とのことです。

「メンテナンス・警備・検査」業種も69.7%と高い数値を示しており、需要は堅実である一方で、技術者の不足や従業員の高齢化が指摘されています。また、「2024年問題」として時間外労働時間の上限規制に直面している「建設」(69.6%)や「運輸・倉庫」(65.8%)、そしてデジタル人材へのスキル再教育が注目されている「金融」(67.1%)など、5業種が60%台で人手不足が際立っています。

出典:帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2024年10月)

非正社員が不足している業種

帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2024年10月)」では非正社員が不足している企業の割合も報告されています。

業種別に見た非正社員の人手不足率では、「飲食店」が64.3%と最も高い割合を示しました。次に高かったのは「旅館・ホテル」で、60.9%という高水準に達しています。

続いて、「人材派遣・紹介」も引き合いが強いだけでなく、派遣人材の不足が指摘されており、55.2%と過半数を占めています。

他にも、「メンテナンス・警備・検査」の分野でも正社員の不足が目立ち、54.1%という割合が見られました。スーパーマーケットや百貨店が含まれる「各種商品小売」も48.9%と比較的高い水準にあります。

出典:帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2024年10月)

それでは各業界の人手不足の現状と人手不足に陥っている原因をもう少し詳しく見てみることにしましょう。

運送業・流通業界:宅配サービスの利用客急増

運送業はすでにかなりの人手不足に見舞われている業界です。特にコロナ禍を受けてオンラインショッピングの需要が一気に高まり運送需要が一気に高騰しました。一方で運送業界全般としては厳しい労働条件も相まって労働力不足に陥っています。

さらに問題を深刻にしているのが物量業界の2024年問題といわれているものです。2024年4月からトラックドライバーの時間外労働は960時間を上限として規制されます。それに加えて改正改善基準告示が適用され、トラックドライバーさんが働くことのできる時間の絶対量が減っているんです。

もちろんこれによって過労死を招くような劣悪な労働環境がなくなっていくのは望ましいことですが、一方で要求される運送物量はむしろ増加傾向。そのため人手不足のスパイラルに陥っている状況で今後もどんどん悪化していくと予想されます。

リクルートワークス研究所の「未来予測2040」によると2030年に37.9万人、2040年には99.8万人の労働供給不足に達することが推定されているわけですから、かなり深刻と言えます。2040年には「4人必要な仕事に3人しかいない」状況になると言われています。

将来的にみるとこの影響は深刻で特に地方においては配送が全くできない地域や配送が遅延することが前提になる地域が少しずつ増えていくということを意味しています。

運送業界は需要の高騰に対して圧倒的な人手不足

建設業

また高度経済成長期に整えられたインフラ設備や建物が建設されてから50年以上が経とうとしています。それらが一気に老朽化を迎えるため需要が少なくなることはありません。

2030年に22.3万人、2040年に65.7万人の労働供給不足が発生すると言われています。肉体的にきつい現場も多く、以前から慢性的な人手不足が叫ばれている業種でもあります。

道路の整備や新しい宅地開発に伴った工事など、今後も需要が減るということはないでしょう。2030年頃までの間に、建設後50年以上が経過した施設の割合は加速度的に高くなっていき、労働力の需要も比例して上がっていきます。

しかし、需要が増加している一方で、深刻な人手不足が課題となっています。国土交通省が発表した「建設業を巡る現状と課題」によれば、2021年の労働者数はピークだった1997年と比べて約200万人減少し、479万人となっています。

労働者の年齢層を見ると、55歳以上が35.9%を占めており、29歳以下は11.7%に留まっています。これにより、労働者の高齢化と若者の参加不足が同時に進行している状況です。

休日が取りづらいことなどの背景もあり、工事の直接的な作業を行う技能労働者のなり手は少なく、高齢化が進行している上に高齢の技能労働者の大量退職も迫ってきています。2025年における技能労働者の需給ギャップは47〜93万人といわれています。

このような課題を受け、業務効率化やコスト削減などの観点から、建設・建築関連企業のDX推進が求められています。

情報サービス業・IT専門職:需要にあわせた人材の確保が課題

人手不足を解消する一つの方法は業務をまわすために必要な人の人数を減らすことです。そのためあらゆる業種でDX化が押し進められており、IT専門技術者は以前にも増して必要になっています。

たとえば、AI(人工知能)を活用によって単純作業が代替されていったり、Web会議システムの普及などで社会的にIT技術はどんどん浸透していっています。そのため、インターネット環境や動作状況を整備する人材が必要とされているのです。

経済産業省が発表した「IT人材需給に関する調査」では、IT需要の進み具合を一番低く見積もった場合でも2030年までに16.4 万人。IT需要の拡大具合が最大の場合で約78.7 万人の人材不足になると推計されています。

需要は拡大の一歩なのに対し、求められる人材を育成するのは簡単ではありません。そのために人手不足となっています。

経済産業省のデータを見てみても、需要が右肩あがりで伸びてきているのに対し、供給人材数はほぼ横ばいか微増といったところです。

経済産業省「IT人材需給に関する調査」より:生産性上昇率 0.7%、IT 需要の伸び「高位」の場合の試算

また、この分野は日進月歩。10年前の知識と経験では必ずしも最先端の技術を扱うことができません。そのための常に技術の刷新が求められる業種でもあります。裏を返すと、今は戦力になっている人材でも時代や必要とされる技術が大きく変化すると、戦力になるとは限らないのです。

そのため人手不足に対処する上でリスキリングが特に重要な業種といってもいいかもしれません。

先ほどの経済産業省の資料でも「技術進展が進む IT 分野では、需要構造が変化し、人材に求められるスキルや能力が変化するため、需要構造に対応した IT 人材を確保していくことが求められている」と述べられており、「今後、必要な IT 人材を確保するためには、単にIT 人材の数を増やすのではなく、生産性の向上や需要増が予想される先端技術に対応した人材の育成が重要である」と指摘されています。

同じ資料ではまた、特に今後需要が伸びると予測されているAIの分野では求められる技術が高度であることから、人材確保が特に難しいと指摘されています。

エンジニアの採用に苦戦するところが増えていますが、「優秀なエンジニア採用が難しい理由を解説:対策と成功への戦略」の記事のなかではエンジニア採用のために企業が工夫できる点をご紹介しています。

飲食店業界:利用客の回復

飲食店や旅館・ホテルでは、「アフターコロナ」の時期に入ってからも深刻な人手不足が続いていました。特に飲食店では非正社員が長らく業種の中でトップクラスの不足を示し、旅館・ホテルでは2022年12月時点で、正社員・非正社員ともに8割以上が不足という、コロナ禍以前を超える高水準の状態が続きました。

しかし、2024年に入ってからは、これらの業種は依然として上位の人手不足を抱えているものの、徐々に改善の兆しが見え始めています。この背景には、インバウンド需要が一層高まっていることに加え、業務効率化のためのツール導入やスポットワークの普及といった多様な働き方が広がり、人手不足の解消に役立っていることが一因として挙げられます。

厚生労働省の調査でも接客・給仕職業従事者の有効求人倍率は3倍。飲食物調理従事者で2.8倍ほどです。他の職種と比べても人手が不足していると言えます。

原因としては非正規雇用率や短期離職率の高さがよく挙げられます。

コンビニの中には人手不足に対処するためスポットバイトとして同じ系列のお店であれば短期的に全国どこの店舗でもアルバイトができる、といった取り組みをしているところもあり、例えば普段コンビニで働いている主婦の方が旦那さんの出張に一緒に着いて行き、旦那さんの出張先の同系列コンビニでスポットで働くといったケースも増えています。

またコロナ禍のあおりを受けたのもこの業界です。外出自粛によって外食産業がかなりの打撃を受けた、という点は繰り返しニュースで報道されました。まだ記憶に新しい方も多いはず。ところが新型コロナウィルス感染も徐々に落ち着いてきています。

そのため飲食店を利用するお客さんの数は回復傾向にあります。日本フードサービス協会の「外食産業市場動向調査(2023年7月度結果報告)」によると、2019年同月比で、外食売上高は112%、店舗数も92%となっており、コロナ禍で急激に落ち込んだ需要が回復していることを示しています。

こちらの資料では2020年4月に売上高の伸び率が60%まで低下しましたが、その後の推移をみると売上高だけでみればコロナ禍以前を凌ぐ勢いで伸びていることがわかります。

日本フードサービス協会の外食産業市場動向調査(2023年7月度結果報告)より

このように需要は伸び続きている一方で、長時間労働になったり賃金が安めであるといった要因が加わり、人材の確保に苦しんでいます。

医療・福祉業界

人手不足の主な要因は少子高齢化による需要過多であるという点はすでにご説明しました。そしてこの少子高齢化の影響を直接受けるのが、なんといっても病院や高齢者養護施設や介護サービス業界などです。

このまま放置しておくとなかなか診察が受けられなかったり、救急車を呼んでも受け入れてくれる病院がなかなか見つからないといったことが常態化する恐れもあるといわれているほどです。

医師・看護師・薬剤師などの医療従事者だけでみても、2030年に18.6万人、2040年に81.6万人の労働力の供給不足。2040年の労働需要(467.6万人)に対する不足率は17.5%になると推計されています。

医師・看護師・薬剤師はどれも資格が必要な仕事であり、誰でもその仕事につけるというわけではありません。人手不足の状況のなかでも特に深刻な影響を受けるのはこうした資格を要する仕事です。

これに加えてデイケアサービスや介護職のニーズも増えるばかりですが、賃金水準がなかなか上がらず、増加し続ける需要に労働力の供給が追いつきません。

厚生労働省の調査を見ても医師・看護師・薬剤師といった職業は有効求人倍率が2.3倍近く、介護職で4倍にもなっており、深刻な人手不足の状況がはっきり見て取れます。

人手不足対策として企業が取り組みたい点

さてここまでで人手不足の状況と今後の展望、それから業界別の人手不足の原因などを見てきました。特に人手不足の時代は求職者が企業を選ぶ時代。

人手不足を解消するために企業が取り組める点や、より人手不足のなかでも良い人材を採用するためにできる事柄について扱って行きたいと思います。

DX化待ったなし

DXという言葉は一般化したといっても過言ではありません。それぐらい日本中の企業が業務のデジタル化の必要性を認識しDX化に取り組んできたということかもしれません。

特にコロナ禍以降のリモートワークの普及など、多様化した働き方のニーズに応えるためには業務がDX化されていることが不可欠であり、逆に業務がDX化していないとなると必要な人材が欲しくてもなかなか採用できない、という状況に陥るかもしれません。

また、日本社会全体としても少子高齢化に伴う労働力不足が深刻化し、その解決策として機械化や業務の自動化の必要性がますます叫ばれるようになりました。

AIの活用含めた業務のデジタル化や自動化の負の側面が強調されることも多いですが、特にこうしたデジタル化や自動化は人的資源を付加価値の高い仕事に再配分する機会を提供してくれるという意味で、特別な意味を持つようになるでしょう。

例えば単純作業にかかっていた人材をDX化や自動化の推進によって、人間でないとできないタスクに意識して振り分けることでサービスの質の向上につながるかもしれません。

従業員のリスキリング

リスキリングとは従業員に新しい技術を学んでもらい従来とは異なる新たなスキルを覚えてもらうことです。新しい職種のスキルに限らず、同じ職種であっても新たな分野に挑戦してもらうことも含まれるでしょう。

DX化が進んでいくと単純作業に人材を割り当てる必要がなくなっていきます。かといって、これまで単純作業を行なっていたメンバーを単純に切り捨てるのは必ずしも正解とは限りません。特に会社の業務フローを覚えてもらうだけでもコストです。

そんななかでリスキリングを通した再学習を促進することで数限りある人材を最大限有効に活用することができます。

DX化のもう一つの側面は業務においてよりITの知識が必要になるということですが、必ずしも専門的なエンジニアを雇う必要があるわけではありませんし、雇ったところでそのエンジニアを十分に活用できるだけの専門業務があるのはIT業界など限られた業界になります。

一方でDX化に企業全体でついていくためには会社全体としてのITリテラシーの向上が必須になってきます。

すでに確保している貴重な人材を教育したりリスキリングしたりするための投資が大きな意味を持つようになっていくでしょう。

リスキリングでいま手元にある人材を最大限活用

求人の多様化:柔軟な働き方の提供

労働市場における求人の多様化が進んでいます。つまり求職者が探している働き方が多様化しているということです。

特にコロナ禍以降に一気に浸透したリモートワークの需要は大きいです。また、子育て世代の主婦が時間帯や場所を選んで柔軟に働きたい、というニーズも無視できません。

また副業や兼業を許可するなら色々なスキルを身につけたいという層のニーズも満たすことができるだけでなく、会社としては多様なスキルを身につけた人材を手元に持つことになるという意味で業務に関してもプラスになるのではないでしょうか。

少子高齢化による人手不足とあわせてこうした変化が起きており、それが人手不足に輪をかける結果になっているわけですが、当然のことながら人材を採用したいと考えている企業側ではこの柔軟な働き方のニーズに答えていく必要があります。

例えば、正社員の枠の他に時短社員やパートにも責任ある仕事を任せていけるでしょうか?DX化を進めて出勤しなければいけないメンバーの人数を減らせるでしょうか?兼業や副業は許可できるでしょうか?

DX化を進めてリモートワークを推し進めたり雇用体制を柔軟にして時間の融通が効くように調整することで、求人の範囲を必ずしもオフィスが立地している周辺地域に限定する必要がなくなります。

そのような対応をしていくなら人手不足のなかでも必要な人材を確保するためのハードルがずっと低くなるでしょう。

逆に、正社員でないと大事な仕事を任せられない、あるいは必ず出社しないと仕事ができない、という状況にあるなら人手不足がどんどん深刻化していくなかで採用はこれまで以上に難しくなっていきます。

女性や 高齢者が働きやすい環境づくり

このように柔軟な働き方ができる土壌を整えておくと女性にとっても働きやすい場所となります。子育て世代の主婦が時間帯や場所を選んで柔軟に働きたいというニーズに応えることにもなります。

女性の方が出産したまま離職してしまうのではなく、産休を挟んで復帰できるような体制を整えておくのはますます大切になっていくかもしれません。

さらには高齢者が意義ある形で貢献できる風土作りというのも大切です。今の高齢者、そしてこれから高齢者になる世代は引退したら働かない、というわけにはいきません。かといって、若い世代と同じだけの業務をこなせるわけではありません。

高齢者の経験や知識を十分に活かしつつ、負担にならないような形で会社に貢献できるよう企業側で仕事を作り出してあげる必要があります。

株式会社マイナビ 中途採用状況調査2024年版では、今後の中途採用見通しに関する企業の動向を報告していますが、年代別で見ると「30代」の採用が最も積極的で91.0%。「40代」では8割以上が「50代以上」では6割以上が採用に積極的としており、多くの企業が50代以上の採用にも積極的な様子が分かります。

労働環境の改善

さらには労働環境の改善も当然のことながら企業が取り組むべき点です。労働環境が悪かったり、賃金が労働に見合っていないと、離職率が高くなります。

ただでさえ人手不足なわけですから一度離職すると今度は補充するのが大変。ところが労働環境が悪いような職場であれば新しい人材を採用するのも大変になっていくでしょう。

SNSなどで悪い職場環境が口コミで広まってしまうということもありえます。

もちろん転職が当たり前になってきたので、抱えている人材はいつ辞めてもおかしくない、という前提でいるのは大切なことですが、すでに手元にある人材が最大限パフォーマンスを発揮できる職場にするならば限られた人材を有効活用していることになるでしょう。

職場での満足度が高いなら、さらに良い人材を引き寄せる要因にもなります。会社のサービスの質にはスタッフのモチベーションが反映されるからです。楽しく働いているスタッフに支えられたサービスはお客様対応も気持ちが良いものです。

そうした気持ちのよいサービスを提供しているならば結果求職者をも惹きつける、ということになるかもしれません。

応募はたくさんあるんだけれども、不採用になるケースが多く、なかなか望む人材の採用につながらないとお悩みの方も多いかもしれません。そのような時に意識できる点はいくつかありますが、こちらの「求人・採用の効果を出すためのポイントと注意点」の記事で詳しくご紹介させて頂きました。あわせて参考にしてみてください。

さて、ここまでで、人手不足についてみてきましたが、そんななかで人材を確保するコツについてはこちらの記事でも詳しく解説していますので是非参考にしてください。

人手不足が深刻な理由:まとめ

ますます少子高齢化が進む日本では、労働力の需要過多、供給不足によって、今後もあらゆる業界で人手不足が進んでいくでしょう。

また業界ごとの事情もこの記事で一緒に見てくることができました。また人手不足に対して企業として可能な対策も見てくることができましたが、DX化は待ったなしです。

逆にDX化はリモートワークやより柔軟な働き方に繋がり、人手不足のなかでの人材獲得と採用にあたって有利な材料となっていくことでしょう。

さらに人手不足のなかでは特に募集や採用の際にひと工夫が必要なのも事実。ロケスタがお客様の採用支援をさせて頂いた実際の事例をもとに「丁寧に改善を重ねるとここまで変わる!200万円で採用0が、54万円で応募25件採用1名に!」の記事のなかでは求人広告を出す際に是非やってみて頂きたい点をいくつかご提案しています。

こちらも是非参考にしてみてください。

採用の際に参考にして頂けるこちらの記事も是非!

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株式会社ロケットスタートホールディングス ロケスタ編集部

書いた人:ロケスタ編集部

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